愛犬がシニア期になると、食いつきが悪くなったり健康の悩みが出始めたりしますよね。
また一方で、「まだまだ元気だけどシニア犬用に変えた方がいいの?」という家庭もあるでしょう。
加齢の進行度には大きな幅があるので、うちの子に合うフードはどれだろうと悩んでしまいますよね。
そこで今回は、犬の管理栄養士の私が老犬用ドッグフードの特徴や選び方を分かりやすく解説します。
愛犬に合うフードを見つける参考にしてください。
シニア犬(老犬・高齢犬)用ドッグフードの特徴

シニア犬用ドッグフードは、年齢とともに低下する様々な機能のサポートを目指して作られたフードです。
成犬用と比べてカロリーや脂質が控えめであり、関節サポート成分や抗酸化成分などが多く配合される傾向があります。
それはなぜかというと、シニア期には体に以下のような変化起きるからです。
・筋肉量や活動量が低下して、以前と同じ量を食べていても太りやすくなる
・内臓機能が低下して、消化吸収不良を起こしやすくなる
・軟骨がすり減り摩耗して、足腰に負担がかかりやすくなる
・細胞が老化して、体の様々な機能維持を難しくする など
シニア犬の体にやさしいフードに変えることで、このような変化をサポートしやすくなります。
必ずしもシニア犬用を選ばなければならないわけではありませんが、今のフードが合っていないと感じるのであれば、シニア犬用を検討してみるのもいいでしょう。
また、シニア犬といっても、足腰への負担が顕著な犬もいれば消化吸収不良から逆に痩せてしまう犬など様々です。シニア犬用の中から、愛犬に合ったものを選んであげる必要があります。
シニア犬のためのドッグフードの選び方

シニア期の愛犬のためにドッグフードを選ぶときは、以下の8つのポイントを押さえましょう。
①消化に配慮されているものを選ぶ
②たんぱく質と脂質が良質だと分かるものを選ぶ
③たんぱく質を適量補えるものを選ぶ
④灰分(ミネラル)が控えめのものを選ぶ
⑤食が進みやすい工夫がされているものを選ぶ
⑥健康維持成分が入ったものを選ぶ
⑦余計な添加物が入っていないものを選ぶ
⑧子犬用やキャットフードを選ぶと良い場合も
チェックするポイントが多いので大変かもしれませんが、どれも愛犬のからだのために意識しておきたい内容です。
それぞれ詳しく説明するので、最後までぜひご覧ください。
※獣医師から食事指導を受けている場合は、その指示に従ってください。
①消化に配慮されているものを選ぶ

シニア犬になると、徐々に内臓の機能が衰えていきます。食べたものをうまく分解できずお腹を壊してしまったり、分解した栄養をうまく取り込めなかったりするため、できるだけ消化しやすい加工がされたフードを選んでおくと安心です。
ドッグフードの消化率の目安は以下になるので参考にしてください。
| フードタイプ | 消化率の目安(※5) |
|---|---|
| フリーズドライフード | 98%以上 |
| フレッシュフード | 95%以上 |
| エアドライフード | 95%前後 |
| ウェットフード | 80~95%※ |
| セミドライフード | 75~90%前後※ |
| ドライフード | 70~93%※ |
ただ、フリーズドライやフレッシュフードなどは安いとは言いづらいフードです。
それだけ良い食事ではありますが、薬代などもかかるシニア期では継続が難しいこともあるでしょう。
費用感的にドライフードを選びたいというときは、ぬるま湯でふやかして分解しやすい形で与えるのがおすすめです。
②たんぱく質と脂質が良質だと分かるものを選ぶ

シニア犬の体に負担をかけるリスクを軽減するために、良質な食材を使用していると分かるフードを選ぶようにしましょう。
品質が確かな食材は、消化吸収の良さや栄養価の高さに期待が持てます。特に、健康維持に欠かせないたんぱく質と脂質は良質であることが大切です。
フードを購入する前に、公式サイトに原材料の選定基準が記載されているかを確認してみてください。
原材料の選定基準はメーカーによって様々なので、残念ながら「この内容が書かれていれば安心」というものはありません。
飼い主さんそれぞれが、「うちの子に安心して与えられる」と納得できるものを選ぶと良いでしょう。

私個人としては、「原材料について解説するページを設けているか」をまず基準にしています。
その食材を選んだ理由や、産地、家畜の生育方法などが分かるものは、自信を持ってつくられたフードであると感じるからです。
また、そういったフードの多くは余計な添加物を使っていない傾向があります。
商品名と価格だけしか分からないような詳細不明のフードもあるので、良質な食事だと分かるものを選びましょう。
③たんぱく質を適量補えるものを選ぶ

たんぱく質は体を構成する最も重要な栄養素なので、健康維持のために適量をしっかり摂る必要があります。
適量には個体差があるので一概には言えませんが、成犬のときに与えていたフードと同程度のタンパク質量か、または数%高いくらいのものを選ぶと良いでしょう。
例えば、成犬時にたんぱく質が23%程度のフードを与えていたのなら、シニア期では25%程度にする、という感じです。
ただ、シニア期は栄養を体に取り込む力が低下しています。また、取り込んだ栄養から細胞や筋肉やホルモンなどをつくる力も落ちてきている状態です。
そのため、これまでより多くたんぱく質を与えていても不足してしまう可能性があります。それならたくさん与えればいいかというと、残念ながらそうではありません。
体の負担にならないような塩梅がとても難しいのですが、良質なタンパク質を選び、適量を摂れるよう意識してあげることが大切です。
④灰分(ミネラル)が控えめのものを選ぶ

シニア犬になると飲水量の低下が起きやすくなります。腎臓や心臓の機能維持に配慮するために、灰分(フードに含まれるおおよそのミネラル量)が控えめなものを選ぶと安心です。
目安としては、灰分の数値が4〜6%程度であれば控えめと言えるでしょう。高いものでは12%程度、中央値は7%程度です。
これは、これまで私が7年以上、ドッグフードを調査してきた経験上の目安です。あくまでも目安にはなりますが、ミネラルの配合量の「多い」「少い」を示す明確な指標がないので参考にしてもらえればと思います。
ただもちろん、ミネラルは健康維持に欠かせない栄養素なので、抑えすぎても良くありません。
シニア期の腎臓や心臓が、ミネラルバランスの乱れの影響をできるだけ受けないようにするための配慮です。
⑤食が進みやすい工夫がされているものを選ぶ

シニア犬になると、加齢や持病などの様々な理由からドッグフードを食べないことがあります。
食欲そのものがないこともありますが、食べたくてもうまく食べられないこともあるので、できるだけ香りが強く、粒の大きさや硬さなどに工夫がされているものを選びましょう。
例えばドライフードであれば、鰹節やトライプなどが強く香るもので、硬すぎない小粒タイプがおすすめです。
嗅覚が弱ってきたシニア犬の食欲を刺激しやすいうえに、飲み込みやすく、喉に詰まられせるリスクも低くなります。
ドライフードではあまり食が進まないないようであれば、セミモイストフードやウェットフード、フリーズドライやフレッシュフードなどを試しましょう。
より香りも強く、食感も柔らかくて食べやすくなっています。消化の良さもドライフードより上がりますね。
ただ、どんなに食いつきが良いと評判のものでも食べてくれないことがあるのがシニア期です。
愛犬がごはんを食べなくて悩んでいるときは、以下の記事を参考にしてください。
-300x158.png)

⑥健康維持成分が入ったものを選ぶ

シニア期には、特に強化しておきたい栄養素があります。
通常、フードに配合されるビタミン類などに加えて、以下のような健康維持成分が入ったドッグフードを選ぶと、色々な角度から愛犬の健やかな毎日をサポートできる可能性があります。
・腸内の健康維持に
プロバイオティクス(乳酸菌類)、プレバイオティクス(イヌリン)など
・関節の健康維持に
グルコサミン、コンドロイチン、MSM、緑イ貝など
・脳の健康維持に
DHA、ポリフェノール(ベリー類)など
・目の健康維持に
ルテイン(マリーゴールド)など
・心臓、血管、皮膚被毛など体全体の健康維持に
オメガ3脂肪酸(DHA、EPA)など
ただし、気になっているドッグフードに必ずしも上記の成分が入っているとは限りません。
もし迷ったときは、健康維持成分の有無よりも食べやすさなどを重視してください。健康維持成分はサプリメントでも与えることができます。
私たちがシニア犬におすすめしたいサプリメントは「厳選サプリメント」で紹介しているので、こちらも合わせてご覧ください。
⑦余計な添加物が入っていないものを選ぶ

ドッグフードに配合されている添加物は安全性が証明されていますが、添加物と犬の健康については十分に研究されているとは言えません。
また、過剰摂取した場合は体の害になるので、健康に特に気を使ってあげたいシニア犬には、余計な添加物が含まれていないフードがおすすめです。
例えば、人工的な着色料や香料、保存料、酸化防止剤などがそれに当たります。
犬は食べ物を色で判断しませんし、香り付けや品質の維持は自然由来成分でも代用が可能です。
実際、高品質な食材を厳選しているフードでは、製法やパッケージを工夫することで添加物の使用を抑えている傾向があります。
そのように添加物をできるだけ使わずに高い品質を維持しているフードのほうが、犬のためにこだわりを持ってつくられた食事と言えるでしょう。
ただもちろん、老犬の食が細くなってきたときには、添加物の有無に縛られすぎずに愛犬が好みそうなものを探してみてくださいね。
⑧子犬用やキャットフードを選ぶと良い場合も

シニア犬になると、どんなに工夫をしても食事量が減ってしまうことがあります。
どうしても栄養を摂ってほしいときには、子犬用のフードやキャットフードを一時的に与えても良い場合があるので、かかりつけの獣医師に相談してみましょう。
どちらもたんぱく質や脂質が高い傾向があるので、栄養価も嗜好性も高い食事になっています。特に子犬用は、これから体をつくる子犬のために、消化性に優れた設計になっているものが多いです。
またキャットフードは、ウェットフードの種類が豊富であり、犬用よりも香りが高い傾向があります。
ただし、本来は犬と猫、シニアと子犬では必要な栄養バランスが異なることを忘れてはいけません。
よく食べるからといってずっと与えて続けて良いものではないので、必ず獣医師に相談しながら選ぶようにしてください。
シニア犬の体にやさしいドッグフードの与え方

ここからは、シニア犬のためのドッグフードの与え方を紹介します。
シニア期は体の負担にならないようにドッグフードの与え方にも注意が必要です。
切り替えや量、回数など複数のポイントに分けて解説しますので、改めて確認してみてください。
ドッグフードを切り替えるときの注意点

シニア犬は胃腸の機能が徐々に低下しているので、成犬時よりも切り替えを慎重に行いましょう。
切り替え方自体は、今与えているフードに少量ずつ新しいフードを混ぜて徐々に切り替える、という従来の方法で問題ありません。
10%程度ずつ混ぜて10日間程度で切り替えを完了するのが一般的だと思いますが、新しいフードを混ぜる量を5%程度ずつにするなど、よりゆっくりと切り替えてあげると安心です。
若い頃はいきなりフードを切り替えても平気だった犬でも、老犬になると切り替えのスピードについていけずにお腹を壊したり吐いてしまうことがあります。
もし、切り替え途中で体調に異変が見られたら、一度以前のフードに戻してあげてください。体調が安定したら、より少ない量からまた始めてみましょう。
それでも体調に異変があるようであれば、フード自体が合わないか、何か他の病気の症状である可能性があります。あまり様子を見ずに動物病院を受診するようにしてください。
シニア犬におすすめの食事の回数

老犬になると消化吸収能力が低下していくため、1日3回以上に分けて与えるのがおすすめです。
回数を分けて与えることで、一度に食べる量が少なくなり、胃腸にかかる負担を軽減することができます。
また、空腹時間が短くなるので血糖値の乱高下を防ぎやすくなったり、食欲が湧きやすくなるなどメリットが多いです。
シニア犬の食事回数については以下の記事で詳しく解説しています。

シニア犬の食事の量

シニア犬に必要な食事の量は、1頭1頭異なります。食べているフードのカロリーはもちろん、愛犬の体重や活動量、体調によっても変わってくるからです。
愛犬に必要な量を以下でチェックしてみましょう。
目安量をもとに食事を管理していく中で、以下のようなことがあれば獣医師に相談してみましょう。
・太ってきた
・痩せてきた
・食べたりない様子がある
・食べ残してしまう など
適正体重を維持することは、健康を維持するうえでとても大切です。以下の記事では食事量について詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。


ドライフードのふやかし方

ドライフードを食べにくそうにしていたり、食いつきが悪くなってきたと感じたら、以下の方法でぬるま湯でふやかして与えてみましょう。
①ドッグフードを器に入れる
②30~40度のぬるま湯入れる
③ラップをして10~20分程度放置する
④食べやすく指やスプーンで崩して与える
柔らかく香りが出やすくなり、水分も同時に摂れるので、シニア犬にはぴったりの与え方です。
以下の記事では、より時間を短縮したふやかし方などを紹介しています。

できるだけ酸化させない保存方法

シニア犬はデリケートで食べムラも出やすいので、ドッグフードの保存方法にも気を配る必要があります。
ドッグフードは酸化すると嗜好性が落ちるばかりではなく、健康に良くありません。栄養素が壊れたり、健康を害する物質を発生させることがあるのです。
特に、シニア犬の健康維持にうれしいオメガ3脂肪酸を多く含むフードは、酸化しやすいという特徴を持っているので注意しましょう。
健康のために選んだフードが体の負担になることがないように、しっかり管理してあげてください。
【ドライフード】
・1ヶ月以内に与えきる(推奨は2週間以内)
・高温多湿を避けた冷暗所で保管する
・チャックを閉めてタッパーやドッグフード専用の容器で密封する
・数日分ごとジップロックなどに小分けするのも良い
【ウェットフード】
・開封後2〜3日以内に与えきる
・ラップやシリコン蓋、クリップ等で密封し冷蔵庫で保管する
【フレッシュフード】
・前日に使用する分を冷蔵庫で解凍
・解凍後は冷蔵庫で2日以内に与えきる※商品により異なる
【フリーズドライフード】
・水で戻したフードや口をつけたフードは保存不可(破棄する)
フードによって使用方法が異なるものもあるので、注意点がある商品は必ずメーカーの指示を守って保管するようにしましょう。

まとめ|シニア犬のドッグフードは栄養バランスと食べやすさで選ぶ

シニアになってもずっと変わらず可愛い愛犬ですが、体の中は確実に変化しています。
体へのやさしさと栄養の摂りやすさに注意しつつ、愛犬が好むフードを探してあげましょう。
では、選び方のポイントをおさらいします。
①消化に配慮されているものを選ぶ
②たんぱく質と脂質が良質だと分かるものを選ぶ
③たんぱく質を適量補えるものを選ぶ
④灰分(ミネラル)が控えめのものを選ぶ
⑤食が進みやすい工夫がされているものを選ぶ
⑥健康維持成分が入ったものを選ぶ
⑦余計な添加物が入っていないものを選ぶ
⑧子犬用やキャットフードを選ぶと良い場合も
愛犬のためのフードが決まったら、与え方や保存方法にも気をつけるようにしましょう。
皆さんのわんちゃんが、美味しく食べて健康を維持できるフードが見つかりますように。


コメント