老犬がドッグフードを食べないと、体調が悪いのではないかと心配になりますよね。
確かに、老犬がご飯を食べなくなる原因は体調不良や病気、加齢に伴う変化などさまざまですが、実はドッグフードの劣化が関係していることもあることをご存じでしょうか。
ドッグフードが劣化していると、食いつきが落ちるだけでなく健康に悪影響を与えることもあるため、まずはフードの状態を確認することが大切です。
そこでこの記事では、老犬が食べないときに確認したいドッグフードの劣化について、動物介護士やペットフード安全管理者の私が解説します。
開封後の賞味期限や見分け方、正しい保存方法についてもご紹介しているので、参考にしてくださいね。
老犬がドッグフードを食べないときは劣化も疑おう

老犬がドッグフードを食べないときは、体調不良による食欲低下なのか、フードの状態が悪くて食べないのか見分けがつきにくいものです。だからこそ、先にドッグフードの状態を確認しておきたいところ。
ここでは、ドッグフードが劣化すると老犬が食べなくなる理由を知っておきましょう。
老犬はにおいや味への反応が鈍くなる

老犬になると、加齢によって鼻の中でにおいを受け取る細胞や粘膜の働きが落ち、ドッグフードの香りを感じにくくなります。
もともと犬はにおいで食欲を刺激されますが、劣化したドッグフードは香りが弱くなったり、においが変わったりするため、においを感じにくい老犬では食べたいと思わなくなってしまうのです。
さらに、口の中の痛みや噛みにくさが重なると、味や食感のわずかな違和感も気になるようになり、若い頃なら問題なく食べていたフードでも食べなくなることが少なくありません。
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開封後のドッグフードは劣化しやすい

ドッグフードは、肉や魚、野菜、穀類、オイルなどさまざまな食材を使用して作られている「食品」なので、開封後は少しずつ風味や状態が変わっていきます。
たとえば、袋を開けたポテトチップが、数日後にはしけってしまったり、香ばしい香りがなくなったりしませんか?
同じように、ドッグフードも開封すればずっと新鮮な状態を保てるわけではないのです。
もちろん、ドッグフードによっては保存料や酸化防止剤などを使用しているものもありますが、食べ物である以上開封後の劣化を完全に防ぐことはできません。
賞味期限内でも安心できない?開封後のドッグフードに起こる変化

日本のペットフード安全法では「賞味期限」を表示することが義務付けられているため、ドッグフードのパッケージには必ず賞味期限が記載されています。
もし、「開封後でも賞味期限内なら大丈夫でしょ?」と思っているならちょっと待って!未開封と開封後では、賞味期限は大きく変わります。
ここでは、老犬の健康を守るためにも、ドッグフードの賞味期限について知っておきましょう。
賞味期限は未開封を前提にした目安

ドッグフードの賞味期限は、未開封のまま適切に保存した状態を前提にした目安です。
ウェットフードの中には、賞味期限とあわせて消費期限が記載されている場合もあるため、よく確認しましょう。
- 賞味期限=「品質が変わらずにおいしく食べられる目安」
…傷みにくい食品に表示され、期限を過ぎてもすぐ食べられなくなるわけではないが、品質は落ちる - 消費期限=「安全に食べられる期限」
…傷みやすい食品に表示され、期限を過ぎたものは食べないほうがいい
ただし、パッケージに記載されている賞味期限や消費期限は、あくまでも未開封の場合の期限であり、開封後は当てはまりません。
開封後はドライなら1ヶ月以内、ウェットは2日以内を目安に食べきる

開封後のドッグフードは、なるべく早めに使い切ることが大切です。
- ドライフード
…1ヶ月以内を目安に食べきる。理想は2週間以内 - ウェットフード
…冷蔵庫で保存して1~2日以内を目安に食べきる
また、一度口をつけたフードは、唾液や口の中の細菌がフードに移って傷みやすくなるため、食べ残しはそのまま置いておかず処分しましょう。
開封後は酸化や湿気の影響を受けやすい

ドッグフードは、開封して空気に触れた瞬間から酸化が始まります。
ドッグフードには油や脂肪分が必ず含まれていますが、これらは空気中の酸素と化学反応を起こし、「酸化」が起こるのです。
さらに、酸化が進むと毒性のある「過酸化脂質」が作られ、肝臓や腎臓などの臓器にダメージを与えたり、認知症や動脈硬化など、さまざまな健康リスクが高まります。
酸化したドッグフードは、風味が落ちたり栄養価が損なわれるため、老犬にとって美味しくないだけでなく、栄養不足や健康被害をもたらす食事に変わってしまうので与えるべきではありません。
また、開封したことで外気の影響を受けやすくなり、フードがしけやすくなります。
湿気を含むことでにおいや食感が変化したり、カビが発生しやすくなるため、開封後は早めに使い切ることが大切です。
老犬に与えず捨てるべきドッグフードの劣化サイン

ドッグフードの酸化は、劣化を引き起こす変化のひとつです。劣化したドッグフードは与えるべきではないため、以下のような変化が見られた場合は、与えずに捨てるようにしましょう。
- いつもより油っぽいにおい、酸っぱいにおいがする
- 普段と比べてベタつく、しける、粒がくっつく
- 色が濃くなる、白っぽい粉が増えるなど見た目に違和感がある
- 開封直後より明らかに食いつきが落ちている
- カビや虫、異物が見られる
- 開封後1ヶ月以上経っている
- 老犬の食いつきが悪くなった
とくに老犬は、ドッグフードのわずかな変化で食べなくなることも珍しくありません。
「まだ食べられそう」「もったいない」と思っても、少しでも違和感があるドッグフードは与えないようにすることが大切です。
老犬のドッグフードを劣化させない保存方法

ドッグフードをできるだけ新鮮な状態に保つためには、保存方法も重要です。
ここでは、ドッグフードを劣化させない保存方法を覚えておきましょう。
なお、ウェットフードは開封後、清潔な密閉容器に移し替えるか、開封口をしっかり閉じて冷蔵庫で保存してください。
高温多湿・直射日光を避けて冷暗所で保管する
ドライフードは未開封・開封後に関係なく、高温多湿や直射日光を避けて冷暗所で保管するようにしましょう。
熱や湿気、光の影響を受けると、劣化が進みやすくなります。
シンク下や洗面所や脱衣所に近い収納、窓際に近い棚などは避け、温度や湿度が上がりにくい場所に保管することが大切です。
袋の口をしっかり閉じパッケージのまま密閉容器に入れる
ドライフードは、空気を抜いて袋の口をしっかり閉じ、パッケージのまま密閉容器に入れて保存しましょう。
ドッグフードのパッケージは、光や空気、湿気の影響を受けにくいよう作られています。
中身だけを移し替えるより品質を保ちやすいため、できる限りパッケージのまま保存するのがおすすめです。
開封後は空気に触れる回数をできるだけ減らす
開封後は、ドッグフードが空気に触れる回数をできるだけ減らすことを意識しましょう。
開け閉めを繰り返すたびに空気に触れるため、酸化が進みやすくなります。
そのため、必要以上に開封したままにせず、使ったあとはすぐに袋の口を閉じるようにしてください。
大容量より食べ切れる容量のサイズを選ぶ
ドッグフードを選ぶときは、愛犬が1ヶ月以内に食べきれる容量のサイズを選びましょう。
ドッグフードはたくさん入っているほうが割安なので、つい大容量のものを選びたくなりますよね。
しかし、使い切るまでに時間がかかると、開封後の劣化リスクが高くなるので注意が必要です。
ドッグフードによっては大容量のものしかない場合もありますが、その場合はすぐに小分けの真空パックにし、2~3ヶ月を目安に使い切るようにしてください。
愛犬がどれくらいの量を必要とするかわからないという飼い主さんは、以下の記事をチェックしてみてくださいね。

老犬がドッグフードを食べないときに劣化ではなく体調不良を疑うサイン

ドッグフードの劣化が原因で食べないこともありますが、老犬では体調不良や病気が隠れていることも少なくありません。
- 新しいフードに替えても食べない
- おやつや好物も食べない
- 食べようとするが食べない
- 嘔吐、下痢、元気消失などほかの症状がある
- 口を痛がる、噛みにくそうにする
- 24時間以上ほとんど食べない
老犬に上記のような様子が見られるときは、体調不良の可能性が高いため、早めに動物病院を受診するようにしてください。
ただし、ドッグフードの劣化でも下痢や嘔吐が見られることはあります。とはいえ、飼い主さんが判断することはできないため、獣医師の診察を受けたほうが安心です。
老犬のドッグフードの劣化に関するよくあるQ&A

ここでは、老犬に与えるドッグフードの劣化に関する疑問をまとめてみました。
まとめ|老犬がドッグフードを食べないときはフードの状態も見直そう

老犬がドッグフードを食べないときは、さまざまな原因が考えられますが、ドッグフードの劣化がその一因になっていることもあります。
特に老犬では、においや味の変化、噛みにくさなどが重なることで、若い頃なら気にならないような違和感でも食いつきの低下につながることも少なくありません。
開封後のドッグフードは劣化しやすいため、パッケージに記載されている賞味期限に関係なく、1ヶ月以上経っているものは処分して新しいフードに変更しましょう。
参考文献
参考:Animals (Basel)「Canine Olfaction: Physiology, Behavior, and Possibilities for Practical Applications」
参考:ペット栄養学会誌「市販ドッグフードの脂質に対するα-トコフェロールの抗酸化効果」
参考:農林水産省「消費期限と賞味期限」
参考:農林水産省「ペットフード安全法 表示に関するQ&A」
参考:厚生労働省「油脂加工食品中に生成する脂質酸化物の安全性に関する研究」
参考:FDA「Proper Storage of Pet Food & Treats」
参考:農林水産省「Manual for the Manufacturing of Safe Pet Foods」



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