フードを変えたりトッピングをしたりしても老犬がご飯を食べないと、「何をあげたらいいの?」と悩んでしまいますよね。
私も4匹の高齢愛犬たちと暮らしていたので、ご飯を食べないときの心配や不安、焦る気持ちはよくわかります。
何でもいいから口にしてほしいのに、愛犬がご飯を食べないと、何なら食べてくれるかそればかり考えていました。
実は、老犬になると嗜好の変化や歯・消化機能の衰えなどにより、これまで食べていたフードを急に食べなくなることは珍しくありません。
この記事では、動物介護士やペットフーディストの私が、老犬がご飯を食べないときに食べてくれやすい食べ物や対処法を解説します。
なお、老犬が24時間以上何も口にしていない場合は、病気の可能性や状態を悪化させてしまうこともあるため、早めに動物病院を受診してください。
【何をあげる?】老犬がご飯を食べないときに試す食べ物一覧
※食材名をクリックすると、それぞれの食べ物の解説に移動できます。
| ジャンル | 食べ物 |
|---|---|
| フード | ・ふやかしたドライフード ・ウェットフード ・フレッシュフード ・フリーズドライフード ・子犬用フード ・キャットフード |
| 肉類 | ・鶏肉 ・豚肉 ・牛肉 |
| 内臓肉 | ・レバー ・ハツ |
| 魚類 | ・マグロ ・サーモン ・白身魚 ・カツオ ・サバ |
| 卵類 | ・卵 |
| 豆類 | ・納豆 |
| 炭水化物 | ・おかゆ ・うどん |
| 野菜 | ・さつまいも ・かぼちゃ |
| 果物 | ・甘栗 ・バナナ |
| 乳製品 | ・ヨーグルト ・チーズ ・ヤギミルク |
| 手作り食 | ・犬向け豚汁 ・犬向けハンバーグ |
| 甘いもの | ・あんこ ・プリン ・蒸しパン ・カステラ |
| その他 | ・赤ちゃん用ごはん ・全部抜きハンバーガー ・衣なしフライドチキン / からあげ / とんかつ |
老犬がご飯を食べないときに何をあげるか迷ったときは、上記のような老犬の嗜好性の高いものを試してみましょう。
ただし、与え方に注意が必要な食べ物も含まれているため、次章ではそれぞれの特徴や与え方のポイントを解説します。
老犬がご飯を食べないときにまず試したいフード

老犬がご飯を食べないときに、まず試したいのがフード類です。
総合栄養食(もしくはFEDIAF基準)のフードは、犬が1日に必要な栄養をバランスよく含んでいるため、食べられる量が少ない場合でも効率よく栄養を補うことができます。
ふやかしたドライフード
ドライフードをぬるま湯でふやかして与えてみましょう。
ドライフードはそのままだと硬く、歯や歯ぐきに負担がかかることがありますが、ふやかすことでやわらかくなり、噛む力が弱くなった老犬でも食べやすくなりますよ。
また、水分を含ませることで口当たりがよくなったり、飲み込みやすくなったりします。
さらに、ふやかすことでフードがあらかじめ水分を含んだ状態になるため、胃の中で急激に膨らむのを防ぎやすくなり、食後の不快感の軽減にもつながるでしょう。

ウェット・フレッシュフード
ウェットフードやフレッシュフードは水分量が多く、やわらかい食感のため、老犬でも食べやすいフードです。
ドライフードに比べて香りが立ちやすく、嗜好性が高いため、食欲が落ちているときでも口にしてくれることも珍しくありません。
また、水分を一緒に摂取できるので、食事量が少ない場合でも水分補給につながるでしょう。
特にフレッシュフードは手作りご飯のような食感や風味に近く、素材の香りも感じやすいため、食いつきが良い傾向にあります。消化率も高いため、老犬の消化への負担にも配慮してあげられますよ。
フリーズドライフード
フリーズドライフードは、食材の水分を凍結乾燥させたフードで、素材本来の風味や香りが残りやすく、嗜好性が高いのが特徴です。消化率も高いため、老犬に与えやすいフードです。
フリーズドライは軽い食感のためそのままでも食べられますが、ぬるま湯で戻すことでやわらかくなり、水分を含ませることで香りもより強くなります。
また、少量でもエネルギーや栄養を摂取しやすいため、食事量が減っているときの補助としても取り入れやすいフードです。
私も高齢の愛犬に与えていましたが、愛犬の場合は戻したものよりも、そのままのモサモサの食感のほうが好きなようでした。さらにもう1匹の愛犬は少し湿らせた程度のものしか食べませんでしたよ。
このように、老犬によって好みが異なるため、愛犬の好きな食感を探してあげてくださいね。
子犬用フード
子犬用フードは、子犬の健やかな成長のためにタンパク質や脂質が高めに設計されているものが多く、風味も強くなりやすい傾向にあるため、老犬が食べてくれやすいフードです。
子犬用フードはドライフードやウェットフードの種類も多く、嗜好性や消化への配慮もされているので、愛犬の好みや体質に合わせたフードを見つけやすいでしょう。
実際、私の愛犬がまったく食べなくなってしまったときに、子犬用フードを与えたら、それまでが嘘のように普通に食べてくれましたよ。
また、基本的に子犬用フードは高カロリーで栄養価が高く、少量でもエネルギーを補給しやすいため、食事量が減ってしまった老犬や痩せている老犬では重宝しやすいフードです。
キャットフード
キャットフードは完全肉食である猫のための食事なので、タンパク質や脂質が高く嗜好性が非常に高いため、老犬が食べてくれることがあります。
犬と猫では必要な栄養素や栄養バランスが異なり、猫はドッグフードを食べることはできませんが、キャットフードには犬が必要な栄養素が含まれているので、食べないときの選択肢としては活用できます。
実際、ご飯を食べなくなってしまった老犬に対して、キャットフードを与えてみるように提案する獣医師も少なくありません。私も獣医師と相談して、試したことがありますよ。
もちろん、キャットフードは犬にとって最適な栄養バランスではないため、あくまでも一時的なものですが、試してみる価値はあるでしょう。

老犬が食べないときに食べてくれやすい食材

老犬がフードを食べないときは、食材をトッピングしたり、食材そのものを与えたりすることで食べてくれることがあります。
ここでは、特に嗜好性が高く老犬が食べてくれやすい食材をまとめました。
「何なら食べてくれるの?」と悩んでいた飼い主さんは、ぜひ試してみてください。
なお、与える際はのどに詰まらせないように細かく刻んだりつぶしたりして、食べやすい状態にしてあげましょう。
鶏肉・豚肉・牛肉などの肉類
鶏肉や豚肉、牛肉などは香りが強く嗜好性が高いため、老犬が食べてくれやすい食材のひとつです。もちろん、老犬によってはラム肉や馬肉、鹿肉などのほうを好むこともあります。
特に加熱した肉はうま味や香りが引き立ちやすく、食欲が落ちているときでも興味を示してくれやすいでしょう。
やわらかく調理すれば噛む力が弱くなっている老犬でも食べやすくなります。
ちなみに私の愛犬は、同じ鶏肉でもささみが良かったり胸肉がよかったりと、日によって部位の好みが変わっていましたよ。
また、調理方法もこだわりがあるのか、蒸したり焼いたり茹でたり、その時々で食べる・食べないが変わることも。
このように、老犬ではちょっとした違いで食いつきが変わることもあるため、部位や調理方法を変えながら試してみてくださいね。
レバー・ハツなどの内臓類
レバーやハツなどの内臓類は独特の風味があり、犬が強い嗜好性を示す食材です。
内臓は野生では先に食べられる部位であり、犬が本能的に好みやすい食材ともいわれています。
ただ、内臓類は栄養価が高い一方でビタミンAを多く含むため、以下を目安に少量にとどめ、与えすぎには注意しましょう。
| 体重 | 1日の目安量 |
|---|---|
| 超小型犬(体重4kg未満) | 5g |
| 小型犬(体重4~10kg未満) | 10g |
| 中型犬(体重10~25kg未満) | 15g |
| 大型犬(体重25kg以上) | 20g~ |
また、新鮮な内臓類は手に入れることが難しいですね。その場合は、犬用おやつとして販売されているレトルトやフリーズドライのレバーを活用するのがおすすめです。
さらに、フードを選ぶときも、内臓類が使用されているものを選ぶと、比較的食べてくれやすいでしょう。
マグロやサーモンなどの魚類
マグロやサーモンなどの魚類は、香りやうま味があり、肉類とは違った風味で食欲を刺激しやすい食材です。
マグロ、サーモン、タラ、ブリ、サバ、カツオ など
肉を食べなくなった場合でも、魚の匂いや味に反応して食べてくれることがあり、嗜好に変化が見られる老犬にも試しやすいでしょう。
特に血合いの部分は香りや風味が強いため、食欲が落ちているときでも口にしてくれやすいです。ただし、脂質や鉄分が多いため、与えすぎには注意してください。
魚類を与える際は、骨をしっかり取り除き、中まで十分に加熱してから与えることが大切です。
また、蒸した魚でも煮魚でも、焼き魚でも問題はありませんが、塩焼きや調味料をたくさん使用した煮魚は避けておきましょう。刺身の場合もレンジでチンするなど、加熱するのがおすすめです。
卵
卵は豊富なうま味成分や適度な脂質が含まれているため、肉や魚のように犬の嗜好性が高い食材です。
加熱するとふんわりとした食感になり、噛む力が弱くなっている老犬でも食べやすいでしょう。
- ゆで卵
…細かく刻む・つぶす - スクランブルエッグ
…油・味付けなし - オムレツ
…油・味付けなしでやわらかく - 目玉焼き
…油・味付けなし - 卵とじ
…小さく刻んだ肉や野菜と一緒に炒める - 茶碗蒸し
…だしは薄め・無塩 - 卵スープ
…無塩
また、犬は生卵を食べることができますが、老犬では消化に負担がかかってしまう可能性があります。
卵を与える際は必ず加熱し、半熟〜固ゆでの状態で与えるようにしましょう。
納豆
納豆は、発酵食品特有の匂いやうま味が、老犬の食欲を刺激しやすい食材です。
与える際は、味付けされていないものを選び、付属のタレやからしは使わずに与えましょう。
粒が大きい場合は軽くつぶしたり刻んだりして、食べやすい状態にするのがおすすめです。ひきわり納豆を活用しても大丈夫ですよ。
また、粘りが苦手な老犬の場合は、軽く水で洗ってから与えると食べてくれることもあります。
おかゆ
おかゆは水分が多くやわらかいうえ、お米は加熱することでデンプンが分解され、ほのかな甘みが感じられるようになるので、食欲が落ちているときでも口にする老犬も少なくありません。
消化しやすい状態になっているので、体調がすぐれないときでも消化の負担が少ない点もポイントです。
また、水分を一緒に摂取できるため、食事量が減っているときの水分補給にも役立ちます。
そのままでは物足りない場合は、肉や魚、卵などを少量混ぜて香りや風味をプラスするといいでしょう。
うどん
うどんはのどごしがよく、小麦は香ばしさと独特の強い甘みが感じられるため、老犬でも口にしてくれやすい食べ物です。
実際、老犬に関わらず、小麦特有の風味を好む犬はとても多いですよ。
また、味や香りにクセが少なく、ほかの食材と組み合わせやすいので、肉や魚と一緒に与えてもいいでしょう。
与える際はやわらかくゆで、細かく刻んで食べやすくしてあげることが大切です。
さつまいも
さつまいもは甘みが強く、犬の食いつきが良い食材です。焼き芋やふかし芋は香りや甘みが引き立ちやすく、風味が強くなるので、老犬でも食べてくれる可能性があります。
ただし、皮は消化に負担がかかることがあるため取り除き、中身だけをつぶしたり刻んだりして与えましょう。
また、干し芋は甘みが凝縮されており、好んで食べる老犬も多いですが、水分が少なくかたさがあるため、そのままでは食べにくいことがあります。
干し芋を与える際は、細かく刻んだり、指でつぶすなどして食べやすくしてあげましょう。
かぼちゃ
かぼちゃを好きな犬も多いように、甘みがあるので老犬でも食べてくれやすいでしょう。
かぼちゃは、さつまいもに比べてやや軽い甘さとやわらかい食感が特徴で、受け入れてもらいやすい食べ物です。
与える際は、必ずやわらかくなるまで加熱し、つぶしたり細かく刻んで与えましょう。皮がやわらかくなっていれば、皮も与えても大丈夫ですよ。
甘栗
甘栗は甘みと香ばしい風味があり、食欲が落ちている老犬でも食べてくれやすい食べ物です。
市販されているレトルトパウチ入りのむき甘栗は、原材料が栗だけのものも多く、そのまま与えやすい手軽さも魅力でしょう。
また、栗はとても栄養価が高く、脂質も少なめなので、食べない老犬のエネルギー補給にも最適です。
実際、愛犬がご飯を食べなくなってしまったときに、甘栗はとても重宝しましたよ。
与える際はつぶしたり細かく刻んだりして、喉に詰まらないようにしてあげてくださいね。
バナナ
バナナは甘みと独特の香りがあり、犬の嗜好性が高い果物のひとつです。
やわらかい食感で、噛む力が弱くなった老犬でも食べやすいでしょう。黒く熟したものほど甘みが強くなり、食いつきが良い傾向にありますよ。
また、犬用ミルクとバナナをミキサーにかけてバナナジュースにするのもおすすめです。
ヨーグルト
ヨーグルトのまろやかな酸味と風味を好む老犬は少なくありません。食欲が落ちているときでも、ヨーグルトなら舐めてくれることがあります。
ヨーグルトの水分量は牛乳とほぼ同等なので、水分補給も兼ねられるでしょう。
与える際は無糖のプレーンタイプを選び、人工甘味料(特にキシリトール)が入っていないことを確認することが大切です。
甘みを追加したい場合は、オリゴ糖やはちみつなどを少量足してあげてください。
また、冷蔵庫から出したてではなく、レンジで人肌程度に温めるか、常温に戻してから与えましょう。
チーズ
チーズは脂質やうま味が豊富で香りも強いため、食欲がほとんどない老犬でも反応してくれやすい食べ物です。
小さくちぎって口元に近づけると、興味を示してくれるかもしれません。
また、人ではチーズは体に必要な栄養が詰まった完全栄養食といわれるほど栄養価が高いため、老犬のエネルギー補給にも役立つでしょう。
リコッタチーズ、モッツァレラチーズ、カッテージチーズ、クリームチーズ、マスカルポーネ、プロセスチーズ(塩分が低いもの)
犬用チーズも販売されていますが、実は人用のチーズより塩分が高いものもよくあります。
与える際は、フレッシュチーズのような塩分の少ないものを選び、与えすぎないように注意しましょう。
ヤギミルク
ヤギミルクは犬の母乳に近く消化しやすいのが特徴で、まろやかな甘みと風味があります。
固形物をまったく受け付けないときでも、ヤギミルクなら飲んでくれることも少なくありません。
水分補給にもなるため、食事量が極端に減っているときにも重宝するでしょう。
また、ヤギミルクには全脂タイプと脱脂タイプがあり、特徴が大きく異なります。食いつきを重視したい場合は、濃厚で風味が強い全脂タイプが向いています。
ただし、全脂タイプはリンは控えめですが脂肪分が多めなので、与えすぎないようにすることが大切です。
犬向け豚汁・ハンバーグ
老犬が食べてくれやすい手作り食が、豚汁やハンバーグです。複数の食材の旨味や香りが合わさることで、嗜好性が高まりやすくなります。
特に豚汁は、具材とスープが一体になっているため、さまざまな食材を無理なく摂り入れやすいとメリットもあります。
実際に、私の愛犬は豚汁なら食べてくれるということもありましたよ。最初からネギ抜きで自分も食べられる豚汁を作り、愛犬にはぬるま湯で薄めて与えていました。
味噌は発酵食品でさまざまな栄養が含まれており、少量であれば犬が食べても問題はありません。うま味成分も豊富なので、口にしてくれやすいでしょう。
ただし、豚汁やハンバーグなどを作る際は、最初からネギ類など犬が食べてはいけないものを使用しないようにしてください。
あんこ
もともと犬は甘みを好む傾向にあり、あんこの強い甘みや香りは老犬の興味をひきやすいでしょう。
また、あんこはカロリーも高いので、ご飯を食べない老犬のエネルギー補給にも役立ちます。
ただし、市販されているあんこは糖分が多く含まれているものが多いため、甘さ控えめのものを選んだり、自分で砂糖控えめのあんこを手作りするのがおすすめです。
また、小豆の皮は消化しづらいため、こしあんを選ぶか、粒あんを細かく刻んだりフードプロセッサーにかけるなど、与え方を工夫してあげましょう。
プリン
プリンはなめらかな食感と甘みが老犬でも受け入れやすく、飲み込む力が弱くなっている場合でも食べやすい食べ物です。
プリンは基本的に卵と乳と砂糖で作られているので、好きな老犬も多いですよ。
また、プリンは約70%程度が水分のため、水分補給にも役立ちます。
老犬にプリンを与える際は、カラメルソースはかけず、黄色い部分だけを与えましょう。また、キシリトールが含まれていないことを必ず確認してください。
蒸しパン・カステラ
蒸しパンやカステラは、やさしい甘みとふんわりとした食感で、老犬に好まれやすい食べ物です。
手から小さくちぎって口元に持っていくと、食べてくれることがあります。
パサつきが苦手な老犬の場合は、ごく少量の水分を含ませてあげましょう。
また、与える際は、レーズンやチョコレート、抹茶などが入っていないものを選びましょう。
赤ちゃん用ごはん
赤ちゃん用のベビーフードは、やわらかく調理されているだけでなく、だしや素材のうま味が感じられる味付けになっており、老犬が食べてくれやすいでしょう。
ベビーフードは味のバリエーションが豊富なので、いろいろ試しやすいのも助かりますね。
ただし、玉ねぎなどのネギ類やぶどうなど、犬が食べてはいけない食材が含まれていないか、原材料を必ず確認してから与えてください。
全部抜きハンバーガー・チーズバーガー
どうしても老犬が何も食べてくれないときに、ファストフードの全部抜きハンバーガーやチーズバーガーを試してみるのも1つの方法です。
ファストフードのハンバーガーのパティは、つなぎなしの牛肉100%であることが多く、肉の香りが強いので食欲を刺激しやすいです。
注文する際にソース・ケチャップ・マスタード・ピクルス・タマネギなど、すべて抜いてもらいましょう。もちろん、チーズバーガーの場合はチーズはそのままで大丈夫です。
実際、愛犬が何も食べなくなってしまったときに、全部抜きハンバーガーやチーズバーガーを食べてくれて、その後徐々に自然に普通のフードに戻ったことがありました。
このように、まずは食べるきっかけをつくることが重要な場合もあり、一時的な工夫として取り入れる選択肢になることもあります。
衣を完全に除去したフライドチキン・からあげ・とんかつ
衣を完全に取り除いたフライドチキンやからあげ、とんかつも、老犬の食欲が刺激されやすい食べ物です。
衣を取り除いた肉の部分は脂質とうま味が合わさっており、風味が強くなっています。
実際に、私の愛犬は普通に焼いたり茹でたり、素揚げした豚肉は食べないのに、一度とんかつにして衣を取り除くと食べてくれていましたよ。
与える場合は衣や味付けの強い部分をしっかり取り除き、中の肉だけを与えるようにしてください。気になる場合は、軽く水洗いするといいでしょう。
※本記事で紹介している食べ物の中には、一般的には積極的にすすめにくいものも含まれます。実際に私も、愛犬の体調や食べられる量を見ながら使い分けており、毎月動物病院で血液検査などを受けて状態を確認していました。
老犬がご飯を食べないときに試したい工夫

老犬がご飯を食べないときは、食べ物を変えるだけでなく、与え方を少し工夫することで食べてくれることもあります。
もちろん、すでに試しているかもしれませんが、もう一度見直してみましょう。
手から与えてみる

老犬がご飯を食べないときは、フードを飼い主さんの手から直接与えてみましょう。
特に老犬では、視力や嗅覚の低下によってフードの場所が分かりにくくなっている場合もあるため、口元に持っていってあげることで食べてくれることがあります。
また、飼い主の手から食べ物をもらうことを特別なご褒美のように感じる犬も多く、普段は食べないフードでも口にしてくれることも少なくありません。
実際に私も高齢の愛犬たちがご飯を食べないときは、手から与えて食べてもらっていました。
後半はウェットフードやフレッシュフードだったので手はドロドロになりましたが、食べてくれることが嬉しくて、そんなことは全然気になりませんでしたよ。
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フードを温める

老犬に与えるフードは、人肌程度に温めたものを与えましょう。
フードを温めると香りが強くなり食欲を刺激しやすくなるのはもちろん、老犬の場合は、口当たりが優しくなるというメリットがあります。
歯の内部には 象牙質があり、その中には「象牙細管」という細い管がたくさんありますが、歯ぐきが下がったり歯周病が進むと、この象牙細管が外部の刺激を受けやすくなります。
その状態で冷たい食べ物や熱すぎる食べ物を口にすると、温度の変化が象牙細管を通じて神経に伝わり、しみるような痛みを感じさせてしまうことも少なくありません。
人肌程度の温度は口の中の温度に近いため急激な温度変化が起こりにくく、神経への刺激が少ないので、歯や歯ぐきにトラブルを抱えやすい老犬でも食べやすくなるのです。
少量を複数回に分けて与える

老犬の食事回数も見直してみることが大切です。老犬では、少量を複数回に分けて与えると、食べてくれやすくなったりします。
特に食欲が低下している状態では、一度に多くの量を摂取すること自体が負担になりやすく、満腹感や胃の不快感によって食べられないということも珍しくありません。
老犬にとって食事の回数を増やしてあげることは、消化器への負担軽減や栄養の吸収を助けることにもつながります。
以下を目安に、食事回数を増やしてみましょう。
| 状態 | 食事回数 |
|---|---|
| ・元気で食欲もしっかりある ・7~11歳頃 | 3~4回/日 |
| ・食欲が落ち気味 ・ご飯を残し気味 ・ハイシニア(12歳頃~) | 4~5回/日 |
食事回数については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。


そもそもなぜ食べない?老犬がご飯を食べない主な4つの原因

それまで普通にご飯を食べていたのに、急に食べなくなったりするのが老犬ですが、そもそもなぜご飯を食べなくなるのでしょうか。
ここでは、老犬がご飯を食べない主な原因について解説します。
原因を知ることで、愛犬に合わせた対応をしやすくなるでしょう。
加齢による食欲の低下

老犬になると筋肉量の減少や活動量の低下により基礎代謝が下がり、若いころと同じ量のエネルギーを必要としなくなるため、自然と食事量が減ったり、食欲が落ちたりすることがあります。
また、犬の鼻の中には「嗅覚受容体」という匂いを感じる細胞がありますが、加齢とともにこれらの細胞の数や働きが低下します。
さらに、匂いや味の情報を脳に伝える神経の働きが鈍くなるため、食べ物の匂いへの反応が弱くなることも珍しくありません。
こうした加齢による変化で、以前より食事に興味を示しにくくなってしまうのです。
嗜好の変化やこだわりの強まり

老犬は、加齢に伴う脳機能の変化によって食べ物の好みが変わったり、特定の食べ物にこだわるようになったりすることも珍しいことではありません。
加齢によって脳の前頭葉の働きが低下すると、行動のコントロールや刺激への反応が変化し、行動が固定化されたり、逆に行動の急激な変化が見られることがあります。
そのため、特定の食べ物や食器、食べる場所にこだわったり、それまで好きだったものを食べなくなる、急に別のものを好むといった嗜好の変化が起こりやすくなります。
また、嗜好の変化は脳機能だけでなく、嗅覚や味覚などの感覚機能の低下、歯や口の状態、消化機能の低下など、加齢によるさまざまな体の変化が影響することも少なくありません。
歯や口のトラブル

老犬では歯周病や歯のぐらつき、歯の破折、口内炎などの口腔トラブルが起こりやすくなります。
歯や歯ぐきに痛みや違和感があると、噛む動作そのものが負担になり、実は「食べたい気持ちがあるのに食べられない」ということも少なくありません。
また、歯ぐきの炎症や歯の露出によって、食べ物が歯にしみるような痛みを感じることもあります。
こうした痛みや違和感によって、自然と食事量が減ったり、ご飯を食べなくなってしまうのです。
病気や体調不良

老犬がご飯を食べないときは、何らかの病気や体調不良が原因となっているのかもしれません。
病気やケガなどで体に不調が起こると、体内では炎症性サイトカインが分泌され、脳の食欲中枢に作用して食欲を抑制します。
また、体調が悪いときは組織の修復や免疫反応にエネルギーが優先的に使われるため、体は消化にエネルギーを使わないように食べ物を受けつけなくなることがあります。
さらに、体調不良のときは消化機能の働きも低下するので吐き気や胃の不快感が起こりやすくなり、ますますご飯を食べられない状態になりやすいのです。
老犬がご飯を食べないときに注意したいNG行動

老犬がご飯を食べないときは、少しでも食べてほしいと思うあまり、つい普段はやらないようなことをしてしまうこともあります。
ここでは、老犬がご飯を食べないときに注意したいNG行動について見ておきましょう。
犬が食べてはいけないものを与えない

老犬がご飯を食べないときでも、犬にとって危険な食べ物を与えることは絶対にやめましょう。
- ネギ類(玉ねぎ、青ネギ、白ネギ、長ネギ、万能ねぎ、わけぎ、あさつき、小ネギ、エシャロット、ニラ、ラッキョウ、リーキなど)
- ぶどう・レーズン
- 未熟なプルーン類(プルーン、プラム、すもも)
- チョコレート・ココア・コーヒー
- キシリトール
これらの食べ物は中毒を起こし、命にかかわることもあります。
濃すぎる味付けのものを与えない

調味料などを使用した、濃すぎる味付けのものを与えないようにしましょう。
老犬がご飯を食べないと、味付けすれば食べてくれると思ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、犬は人と比べて味を感じる味蕾(みらい)の数が少なく、食べ物の味よりも香りに強く反応する動物です。
そのため、人間の食事のように調味料で味を濃くしても、食欲が高まるとは限りません。
むしろ調味料が多い食べ物は、老犬の体の負担になることがあるため、濃すぎる味付けのまま与えるのは避けましょう。
無理強いしすぎない

老犬がご飯を食べないときは、ある程度の介助で食事のきっかけを作ることは大切ですが、無理やり食べさせ続けるのはやめましょう。
老犬では、食べる気持ちが見られなくても、口の中に入れてあげることで食べる気持ちに切り替わることも多々あります。
そのため、ある程度は無理にでも食べてもらう必要はありますが、嫌がっているのに無理に口に入れ続けたり、追いかけまわして食べさせようとすると、食事そのものを嫌がる原因になりかねません。
愛犬の様子を見ながら、やりすぎないようにサポートすることが大切です。
老犬がご飯を食べないときの動物病院を受診する目安

老犬がご飯を食べないときは、体調不良や病気が隠れている可能性もあるため、以下のような症状が見られる場合は早めに動物病院を受診してください。
- 急にご飯を食べなくなった
- 24時間以上まったく食べていない
- 水もほとんど飲まない、または脱水の様子がある
- 元気がなくぐったりしている
- 嘔吐や下痢、咳などほかの症状がある
- 急激に体重が減っている
- 口を痛がる、食べにくそうにしている
老犬は、加齢による食欲の低下や一時的な体調の変化が原因でご飯を食べないことも珍しくありませんが、もともと免疫力が低下しているので病気にかかりやすい傾向にあります。
また、持病がある場合では食べないことで体力が落ち、病状が悪化することもあるため、食べないときは獣医師に相談することが大切です。
まとめ|老犬が食べないときは食べてくれる食べ物を試してみよう

老犬がご飯を食べないときは、何をあげるか、何なら食べてくれるか、本当に悩みますよね。
老犬が食べないときは、一般的な基準で食べていいものの良し悪しを判断することはできません。
まずは口にしてもらうことを優先するために、食べてくれそうな食べ物を試してみましょう。
また、今回ご紹介したように、食材の部位や調理方法を変えるだけでも老犬の反応が変わることがあります。
食べてくれるものは老犬によって異なるため、愛犬に合ったものを見つけてあげることが大切です。
食べさせていいか迷ったときや不安がある場合は、私たちにお気軽にご相談くださいね。


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