愛犬が高齢になり、動物病院で「僧帽弁閉鎖不全症の疑いがある」と言われたら、とても心配になりますよね。
そんなとき、
「心臓に悪い食材って何?」
「塩分は制限した方がいいの?」
「療法食やサプリメントは必要?」
といった疑問をお持ちではありませんか?
実は、僧帽弁閉鎖不全症の老犬に与えない方がいい食材は、身近に多く存在しています。
そのため、フードはもちろんのこと、おやつやトッピングにも注意が必要です。
今回は、僧帽弁閉鎖不全症の老犬における食事管理のポイントや避けたい食べ物、ご飯を食べないときの対処法について詳しく解説します。
最後までお読みいただき、僧帽弁閉鎖不全症を抱える老犬の食事管理の一助になれば幸いです。
老犬の僧帽弁閉鎖不全症は食事管理に注意が必要!

僧帽弁閉鎖不全症とは、心臓内にある「僧帽弁」が正常に閉じなくなり、血液が逆流してしまう病気です。
特に小型犬種の老犬に多くみられ、
- チワワ
- トイプードル
- キャバリア
- マルチーズ
- ヨークシャーテリア
といった犬種でよく見られる病気です。
病気が進行すると、血液を全身に送る心臓のポンプ機能が低下し、重症化すると命に関わることも少なくありません。
さらに老犬では、筋肉量の減少や腎機能の低下、食欲の低下なども同時に起こりやすくなります。
そのため、僧帽弁閉鎖不全症に対する食事管理のみならず、全身の健康に配慮した食事管理を行う必要があります。
老犬の僧帽弁閉鎖不全症の食事のポイント

では、僧帽弁閉鎖不全症の老犬では、食事に関してどのような点に注意すべきなのでしょうか?
僧帽弁閉鎖不全症での食事管理のポイントは、
- 栄養バランスのとれたフードを選ぶ
- 低ナトリウム食を検討する
- 心臓の働きをサポートする栄養素を摂る
- いつでも新鮮な水を十分飲めるようにする
といったものが挙げられます。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
①必要なエネルギーを補える栄養バランスのとれたフードを選ぶ

肥満は心臓に負担をかける一方で、過度なカロリー制限は「心臓性悪液質」を起こすきっかけとなることも少なくありません。
僧帽弁閉鎖不全症は、病状が進行するに伴い、筋肉量や体重が減少する心臓性悪液質を起こすことがあります。
- 交感神経の緊張過多によるタンパク異化亢進
…体が常に緊張状態となり、筋肉などのタンパク質が消費されやすくなる状態 - 腸循環の減少による消化吸収障害
…腸への血流が減ることで、栄養を十分に吸収できなくなる状態 - 炎症性サイトカインの影響
…体内で起こる炎症によって、食欲低下や筋肉の減少が引き起こされる状態
また、心臓性悪液質は、僧帽弁閉鎖不全症の予後にも悪影響を及ぼすと考えられています。
そのため、必要なエネルギーを補える、栄養バランスのとれたフードを選ぶことがポイントです。
②低ナトリウム食(減塩食)を検討する

僧帽弁閉鎖不全症の老犬で推奨される食事は、低ナトリウム食(減塩食)が基本と言われています。
ナトリウムは体内に水分を保持する役割を持っているため、塩分を多く摂取すると循環血液量が増加し、心臓への負荷が増加すると考えられているからです。
そのため、心臓病用の療法食では、乾物量ベースでナトリウムを0.08〜0.15%程度(一般的な総合栄養食の4分の1程度)に調整されている傾向があります。
しかし、ナトリウムを制限すると、その分嗜好性が低下することもあるため注意が必要です。
老犬では食事量の低下が健康の大きな負担につながりやすいので、僧帽弁閉鎖不全症が軽度である場合は、極端な減塩よりも栄養バランスを重視することも少なくありません。
実際、軽度の心臓病では過度な塩分制限は行わず、0.15〜0.25%程度に調節することもあります。
③心臓の働きをサポートする栄養素を摂る

僧帽弁閉鎖不全症の老犬では、以下のような栄養素が注目されています。
| 成分名 | 期待される効果 |
| タウリン | 心筋機能の維持をサポートするアミノ酸の一種 |
| L-カルニチン | 筋肉に多く存在し、脂肪酸をエネルギーへ変換することで、心筋の機能をサポートする |
| オメガ3脂肪酸 | 炎症の抑制や抗血栓作用、血管拡張作用などがあり、心血管機能の維持に役立つ |
| コエンザイムQ10 | 細胞のエネルギー産生に関わる補酵素で、抗酸化作用や心筋代謝効率を改善する作用などが期待されている |
| フランス海岸松樹皮抽出物 | 抗酸化作用や血管の弾力性を維持し、血流をスムーズにする作用がある |
これらの成分は治療薬の代わりになるものではありませんが、フードやサプリメントで補うことで、心臓の健康維持をサポートすることが期待できます。
④いつでも新鮮な水を十分飲めるようにする

僧帽弁閉鎖不全症の犬では、常に新鮮な水を飲める環境を整えることが大切です。
僧帽弁閉鎖不全症の治療では、利尿剤を使用することが少なくありません。
その結果、脱水や腎機能の低下が起こることがあります。
また、老犬では慢性腎臓病を併発するケースも多く見られます。
「心臓病だから水を制限した方がいい」という考え方もありますが、制限すべきかどうかは、病気の進行具合によって異なるため、自己判断で水分の制限を行うことは避けましょう。

僧帽弁閉鎖不全症の老犬が食べてはいけないものリスト

では、実際にどのような食材を与えてはいけないのでしょうか?
具体的には、
- 塩分が多く含まれる食材
- カロリーが多く含まれる食材
- 老犬に中毒を起こす食材
といったものが挙げられます。
また、注意したいのがおやつやトッピングです。
せっかく療法食を与えていても、塩分やカロリーが多く含まれる食材を与えてしまうと、療法食の効果が薄くなってしまう可能性があります。
では、それぞれの食材を詳しく見ていきましょう。
①塩分が多く含まれる食材

塩分を摂り過ぎると、心臓への負担が増える可能性があります。
そのため、
- チーズ
- 煮干し
- 犬用のジャーキー
- 味付けされた人の食べ物
- ちくわ、はんぺんなどの練り物
- ハム、ソーセージ、ベーコンなどの加工肉
といったものは、僧帽弁閉鎖不全症の老犬には与えないようにしましょう。
②カロリーが多く含まれる食材

カロリーが多く含まれる食材を与えると、体重が増加し心臓への負担が増える可能性があります。
具体的には、
- 揚げ物
- バター
- 脂の多い牛肉や豚肉
- さつまいもやトウモロコシなどの野菜
といったものが挙げられます。
特に、盗み食いによる誤食が起こらないように注意する必要があります。
③老犬に中毒を起こす食材

僧帽弁閉鎖不全症の老犬では、薬の種類が多くなることで、投薬の際についさまざまなものを与えたくなってしまいますよね。
しかし、僧帽弁閉鎖不全症に関わらず、
- タマネギ
- チョコレート
- キシリトール製品
- ぶどう
- アボカド
といった食材は、老犬に中毒を引き起こす可能性があるため、少量であっても与えないように注意しましょう。
僧帽弁閉鎖不全症の老犬におすすめの食材リスト

では、実際にどのような食材がおやつやトッピングにおすすめなのでしょうか?
具体的な理由も含めて、それぞれの食材を詳しく見ていきましょう。
①良質なタンパク質を含む食材

低脂質で良質なタンパク質を含む食材は、僧帽弁閉鎖不全症の老犬におすすめの食材です。
タンパク質は、心臓を含む全身の筋肉量を維持するために、とても重要な栄養素です。
具体的には、
- 鶏ささみ
- 白身魚
- 卵
といった食材が挙げられます。
ただし、与える前には必ず加熱し、味付けはせず与えましょう。
また、慢性腎臓病を併発している場合は悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。
②脂質が控えめな食材

体重過多の老犬には、脂質が控えめな食材がおすすめです。
具体的には、
- 鶏ささみ
- 白身魚
- さまざまな野菜
- 低脂肪・無糖ヨーグルト
などが挙げられます。
③オメガ3脂肪酸を多く含む食材

心臓の健康維持に有用と考えられているオメガ3脂肪酸は、魚に多く含まれていると言われています。
そのため、
- タラ
- サケ
- 青魚(サバ・イワシ・サンマなど)
がおすすめの食材として挙げられます。
ただし、与える前には必ず加熱し、味付けはせず与えましょう。
また、骨が残っている可能性もあるため、与える際は注意が必要です。
さらに、愛犬の体調や併発疾患によっては悪影響を及ぼす可能性があるため、与える前には一度獣医師と相談しましょう。
老犬が僧帽弁閉鎖不全症でご飯を食べない原因と対処法

老犬は、さまざまな原因で食欲が低下することが少なくありません。
その原因の一つに、病気が悪化することで食欲が低下するケースがあります。
では、老犬が僧帽弁閉鎖不全症でご飯を食べないときは、どのようにすればよいのでしょうか?
その原因と対処法を詳しく見ていきましょう。
老犬が僧帽弁閉鎖不全症でご飯を食べない原因

老犬が僧帽弁閉鎖不全症でご飯を食べない原因としては、
- 呼吸が苦しい
- 薬の副作用
- 血流低下による胃腸機能の低下
といったものが挙げられます。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
①呼吸が苦しい

僧帽弁閉鎖不全症が進行すると、小さな動作ですぐに呼吸が苦しくなり、食欲が低下することが珍しくありません。
その場合は、僧帽弁閉鎖不全症の治療を見直す必要があります。
特に、呼吸数の増加や咳が見られる場合は、呼吸が苦しい可能性が考えられます。
そのような場合は、様子を見ずに獣医師に相談しましょう。
②薬の副作用

僧帽弁閉鎖不全症の治療で用いる血管拡張薬や利尿剤の影響で、脱水や腎臓病の悪化、消化管へのダメージなどが起こり、食欲が低下することがあります。
また、食事に薬を混ぜることによって、食事の風味が変わりご飯を食べなくなることも少なくありません。
そんなとき、自己判断で休薬してしまう飼い主様も多いですが、まずは獣医師に相談するよう心がけましょう。
③血流低下による胃腸機能の低下

心臓のポンプ機能が低下すると、胃や腸などの消化器への血流も減少します。
その結果、吐き気や食欲不振が起こり、ご飯を食べなくなる可能性があります。
また、慢性腎臓病や膵炎などの他の病気が併発することにより、ご飯を食べなくなることも少なくありません。
後述するさまざまな対処法を行っても食欲が改善しないときは、一度獣医師に相談することがおすすめです。
老犬が僧帽弁閉鎖不全症でご飯を食べないときの対処法

前述した僧帽弁閉鎖不全症による食欲低下が原因ではない場合は、与え方を工夫することで、ご飯を食べることがあります。
具体的には、
- フードを温める
- フードをふやかす
- ウェットタイプを試す
- トッピングを使う
- 一時的に愛犬が好むフードを与える
- 食事回数を増やす
といった対処法が挙げられます。
老犬では、状況によっては、厳密な食事管理より「食べるものを優先する」判断が必要な場合も少なくありません。
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老犬の僧帽弁閉鎖不全症のQ&A

ここでは、老犬の僧帽弁閉鎖不全症でよくある質問についてまとめました。
まとめ|老犬の僧帽弁閉鎖不全症の食事は「食べること」と「心臓への配慮」の両立が大切

老犬の僧帽弁閉鎖不全症では、単純に塩分を減らすだけでは十分とはいえません。
心臓への負担を軽減しながらも、
- 必要なエネルギーをしっかり摂る
- 筋肉量や体重を維持する
- 心臓をサポートする栄養素を補う
- 水分摂取を確保する
- 腎臓病などの併発疾患にも配慮する
といった総合的な栄養管理が重要になります。
また、病気が進行した老犬では食欲が低下することも珍しくありません。
そのような場合は、療法食にこだわり過ぎるあまり何も食べなくなってしまうよりも、「まずは食べてもらうこと」を優先した方がよいケースもあります。
特に、呼吸が苦しそう、急に食欲が落ちたといった症状がみられる場合は、病気の進行や薬の影響が隠れている可能性があり、自己判断で食事内容や薬を変更せず早めに動物病院へ相談しましょう。
毎日の食事は、治療薬と同じように愛犬の健康を支える大切なケアのひとつです。
愛犬の年齢や病状に合わせた適切な食事管理を行い、少しでも長く穏やかで快適な時間を過ごせるようサポートしてあげてくださいね。


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