老犬になると、ドッグフードを思うように食べてくれない犬も多いです。
食べ残してしまったり、1日1食しか食べられない子も珍しくありません。
そうなると、愛犬が少しでもカロリーをとれるようにと、食べられるものを食べられるだけ与えている方も多いでしょう。
でも、「これでカロリーは足りている?」「与えすぎになっていない?」と不安になったりしますよね。
そこでこの記事では、犬の管理栄養士の私が、老犬に1日に必要なカロリー量を分かりやすく解説します。
愛犬に少しでも長く健康でいてほしいと思う方は、ぜひ参考にしてください。
老犬の1日に必要なカロリーは?【自動計算機】
老犬の1日に必要なカロリー量は、愛犬の体重や活動量によって異なります。
以下の計算機で愛犬に必要な量を算出してみましょう。必要な情報を入力すると自動で計算されます。
ただし、老犬は、活動量の低下から代謝が落ちている状態です。
また、消化機能をはじめとするからだの様々な機能も徐々に衰えていくため、ご飯の量や内容は常に変化していくと思っていてください。すでに持病を抱えている子であればなおさらです。
できれば、簡単でいいので愛犬の食事量や体重・体型の変化を1週間ごとに記録しておきましょう。
そうすることで、ご飯の量を調整しやすく、通院の際にも診察の助けになります。
記録していく中で、愛犬が太った・痩せたと感じたら、5〜10%の範囲内で調整してみてください。
調整する量が多すぎると老犬には負担となるため、少量ずつ調整することを意識しましょう。
老犬に必要なカロリーの求め方

老犬に必要なカロリーの求め方は、①安静時に必要なエネルギー量を求める②活動係数をかける、というやり方が一般的です。
一見、難しそうに見えますが、これから順番に分かりやすく説明するので大丈夫ですよ。計算が大の苦手な私でも、電卓があれば簡単にできました。
もちろん、自動計算機を使って計算しても問題ありません。ですが、飼い主さん自身が求め方を知っておくことで、愛犬の体調の変化により対応しやすくなりますよ。
では、安静時に必要なエネルギー量の求め方から説明していきます。
①安静時に必要なエネルギー量を求める

「安静時エネルギー要求量(Resting Energy Requirement)」とは、犬が体を動かさずにじっとしている時でも必要になるエネルギーのことです。
心臓を動かしたり、呼吸をしたりと、生きるために必要なエネルギーになります。
RERを求める式は、以下の通りです。
安静時エネルギー要求量(RER)=(体重)0.75 × 70
少し難しく見えますが、電卓では次のように計算します。
体重×体重×体重を入力し、必ず「=」を押してから「√」を2回押す。
そこに70をかける。
例:体重10kgの犬の場合、10×10×10=√√×70=393.638…
安静時エネルギー要求量は、約394kcal
また、上記の他にも、体重^(へき乗記号)0.75×70という式で求められます。
愛犬の安静時エネルギー要求量がわかったら、次に1日あたりのエネルギー要求量(1日あたりに必要なカロリー)を出していきましょう。
②活動係数をかけて1日に必要なエネルギー量を求める

1日あたりのエネルギー要求量(Daily Energy Requirement)は、愛犬が1日元気に過ごすために必要なエネルギー量のことを言います。
安静時エネルギー要求量をベースに、その犬の活動量に合わせて調整したものです。
求め方は以下になります。
1日あたりのエネルギー要求量(DER)= RER × 1.2または1.4
例:体重10kgの犬の場合、安静時エネルギー要求量は、約394kcal
394×1.4=551.61日あたりに必要なエネルギーは約552kcal
このとき、RERにかけた数字は、活動係数と呼ばれるものです。
活動係数とは、愛犬の年齢や去勢・避妊の有無などによって異なる活動量を数値化したものになります。
以下に活動係数をまとめました。表を見て分かる通り、老犬の場合は1.2または1.4が目安です。
| 犬の状態 | 活動係数 |
| 避妊・去勢していない成犬 | 1.8 |
| 避妊・去勢している成犬 | 1.6 |
| 肥満傾向 | 1.4 |
| 減量 | 1 |
| 重篤管理 | 1 |
| 体重増加 | 1.2〜1.4 |
| 高齢犬(避妊・去勢していない) | 1.4 |
| 高齢犬(避妊・去勢している) | 1.2 |
| 子犬(離乳〜3ヶ月) | 3 |
| 子犬(4〜9ヶ月) | 2.5 |
| 子犬(10ヶ月〜1歳) | 2 |
| 妊娠期(1〜4周目) | 2 |
| 妊娠期(5〜6周目) | 2.5 |
| 妊娠期(7〜8周目) | 3 |
| 産後授乳期 | 4.0〜8.0 |
ここまでで、シニア期の愛犬が1日に必要なカロリーを算出することができました。
それでは続いて、愛犬がどのくらいの量のご飯を食べたら必要なカロリーを補えるのか、求める方法を解説します。
老犬のご飯の量(グラム)の求め方

老犬のご飯の量は、ドッグフードのパッケージに記載されている100gあたりのカロリーをもとに算出します。
1日あたりのフードの量 = DER × 100 ÷ フードの100gあたりのカロリー
例:体重10kgの犬の場合、1日あたりのエネルギー要求量は、約552kcal。ドッグフードの100gあたりのカロリーを367kcalとする。
552×100÷367=150.40…
1日あたりに必要なドッグフードの量は約150g。1日3食の場合、1回あたりは50g。
この方法で計算すると、フードのパッケージに書かれている量とは異なることも多いです。
より愛犬に合わせた量を算出することができるので、1度計算してみて損はないですよ。

老犬のご飯の回数

老犬は、消化機能や代謝機能が若いころとは異なるため、1度にたくさん食べると消化不良を起こす可能性があります。
愛犬に合わせて食事回数を3〜5回程度に増やしてみてください。
目安の回数を以下にまとめたので、食欲や体調に合わせて調整してあげましょう。
| 状態 | 食事回数 |
|---|---|
| ・元気で食欲もしっかりある ・7~11歳頃 | 3~4回/日 |
| ・食欲が落ち気味 ・ご飯を残し気味 ・ハイシニア(12歳頃~) | 4~5回/日 |

老犬のカロリー不足のサイン

食事量や食事内容が愛犬に合っていない場合、カロリー不足から以下のようなサインが見られることがあります。
- 食事量は変わっていないが、痩せてきた
- 背骨や肋骨が目立つようになった
- 寝ている時間が増えて、あまり動きたがらない
- 後ろ足にあまり力が入らず、立ち上がりづらそう
- 筋肉が落ち、脚が細くなった
- 毛がパサパサしていて艶がない
- フケが増えた
- よく寒がるようになった
- すぐにお腹を空かせる
ひとつでも当てはまるようであれば、食事の見直しが必要です。
また、病気の影響で症状が出ていることも多いので、獣医師に相談のうえ取り組むようにしましょう。
老犬のカロリー不足とカロリー過多のリスク

老犬が適切なカロリー量を維持できていない場合、体調に悪影響を及ぼします。
特にもともと持病のある犬の場合は、急激な病状の悪化につながる可能性もあるので注意が必要です。
これは、ご飯を食べていない老犬だけではなく、ご飯を食べている老犬にも同じことが言えます。
なぜなら、老犬は消化吸収能力や代謝の低下から、食べたものが効率よく栄養となっているとは限らないからです。
体内でうまく処理されずにそのまま排出されてしまったり、余分に蓄積されている可能性もあります。
愛犬のために、カロリー不足と過多のリスクについて頭に入れておきましょう。
カロリー不足のリスク

老犬がカロリー不足になると、まずは徐々に元気がなくなっていきます。お散歩に出たり、もっとご飯を食べたいという意欲も低下してしまうでしょう。
そうすると筋肉量が落ちるので、立ち上がって動くことが辛くなります。寝たきりのリスクが上がり、体温調節も難しい状態です。
徐々に免疫力の低下も進み、感染症にかかりやすくなります。持病も悪化しやすくなるでしょう。
治療をしても、元気なときに比べて回復にかかる時間がずっと長くなってしまいます。


カロリー過多のリスク

老犬が必要以上にカロリーを摂りすぎてしまうと、体重が増えて肥満になりやすくなります。
肥満は関節や心臓や呼吸器にも負担です。また、膵臓や肝臓の病気のリスクも高めます。持病も悪化しやすくなるでしょう。
さらに、動くと苦しいためどんどん運動量が減り、余計に太りやすい状態になってしまいます。
まとめ|老犬は状況や体調に合わせて必要なカロリーが変わる

老犬になると、加齢による様々な変化や持病の影響により、必要なカロリーがその時々によって変化していきます。
愛犬の体調の変化に合わせていく必要があり、また思うように食べてくれないこともあるため、ときに難しいと感じることもあるかもしれません。
ですが、愛犬に必要なカロリーを把握しておくことは、愛犬を免疫力の低下や病気の悪化のリスクから守ることにもつながります。
かかりつけの獣医師と連携をとりながら、ぜひ食事管理に役立ててくださいね。
- 老犬に必要な1日のカロリーは、安静時エネルギー要求量×1.4で求められる
- 1日あたりのフードの量は、1日に必要なエネルギー × 100 ÷ フードの100gあたりのカロリーで求められる
- 痩せてきた、動きたがらないなどはカロリー不足のサインかも
- カロリーの不足や過多は、持病の悪化や免疫力低下のリスクを高める
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