老犬の食事回数は1日何回?適切な回数と増やすべきサインを専門家が解説

老犬になると、一度に食べられる量が減ったり、食べていても痩せてきてしまうことがありますね。

また、シニア期に入って、これまでの食事回数でいいかわからないということもあるでしょう。

老犬は、これまでの「当たり前」が通用しなくなってくるため、食事の回数も見直してあげることが大切です。

食事回数が適切ではないと、消化器官に負担がかかったり、筋肉が落ちてしまう可能性があります。

そこでこの記事では、4匹の高齢愛犬と暮らしていた動物介護士・ペットフーディストの私が、老犬の食事回数の目安や回数を増やすべきサインについて解説します。

高田菜月
執筆者

ペットフーディスト / 犬の管理栄養士 / ペット食育士1級 / 動物介護士 / CPD認定犬の認知機能不全症候群修了 / ペット看護士 / ホリスティックケア・カウンセラー ほか

たかだ なつき(高田 菜月)

ペット関連の保有資格は20種以上。4匹の愛犬たちの出産から闘病、介護、看取りまでを20年以上にわたり経験。リアルな知見を活かし、ペット専門ライターとして数々のメディアで記事の執筆・監修を行う。現在もチワックス2匹、ポメチワ1匹、カニンヘンダックス1匹の4匹と暮らす。

目次

【結論】老犬の食事回数は1日3回以上が目安

結論から言うと、老犬の食事回数は1日3回以上を目安に与えましょう。

成犬の食事回数は1日2回が一般的ですが、これは犬の消化の特徴と日常的な管理のしやすさの両方が考えられた与え方です。

しかし老犬では、唾液や胃酸分泌の変化、腸の運動性の低下、腸内細菌叢の変化など、さまざまな消化機能の変化が起こりやすくなります。

さらに、食事に関するトラブルが出やすくなるため、食事回数を見直す必要があるのです。

成犬は1日2回の食事が一般的な理由

成犬は基本的に消化機能が安定しているため、1日2回の食事回数でも十分に必要な栄養を摂りやすいという特徴があります。

もちろん、朝と夜の2回に分ける方法が広く採用されているのは、飼い主にとって与えやすいというのも大きな理由です。

犬は食事を取ると胃の中で数時間かけて消化が進みますが、胃が空っぽの状態が長く続くと分泌された胃酸が胃粘膜を刺激して、吐き気や胆汁嘔吐を起こすことがあります。

また、1回の食事量が多すぎると胃が大きく広がり、消化に時間がかかって吐き戻しや消化不良につながってしまうことも珍しくありません。

そのため、食事を1日2回に分けることで一度の食事量を抑えつつ、空腹時間も長くなりすぎないというバランスを取りやすくなるのです。

老犬の食事回数の具体的な目安

老犬の食事回数は1日3回以上が目安ですが、4回や5回になることも珍しくありません

以下に、基準となる目安をまとめてみました。

状態食事回数
・元気で食欲もしっかりある
・7~11歳頃
3~4回/日
・食欲が落ち気味
・ご飯を残し気味
・ハイシニア(12歳頃~)
4~5回/日

ちなみに、私の愛犬たちは、10歳~12歳頃で3回、12歳~16歳頃で4回、16歳~18歳頃には5~6回という感じでしたよ。

とはいえ、老犬の食事回数は単に年齢だけで決めるものではなく、愛犬の体の変化や状態、食事の様子を見ながら調整することが大切です。

老犬の食事回数を増やしたほうがいいサイン

老犬の食事回数には幅があり、何を基準に増やしていいのかわかりにくいですよね。

以下のような様子が見られる場合は、食事回数を増やしてあげましょう。

ここで、もう少し詳しく解説します。

一度に食べられる量が減った

老犬になると、運動量の低下や消化機能の変化などから、一度にたくさんの量を食べられなくなることがあります。

食事の途中で食べるのをやめてしまったり、少量しか食べられなかったりする場合は、1回の食事量が多すぎるのかもしれません。

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食べ残しや食べムラが増えた

老犬では、歯周病など口の中のトラブルや嗅覚の変化、食べ物へのこだわりの強まりなどにより、食べ残しや食べムラが見られることがあります。

それまで普通に同じ量を食べていた場合でも、「よく食べる日」と「食べない日」の差が大きくなることも珍しくありません。

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吐き戻しや消化トラブルが増えた

老犬になると、一度に多くの食事を取ると、吐き戻しや消化不良などのトラブルが起こることがあります。

これは、加齢によって胃や腸の動きが弱くなり、食べ物の消化や移動に時間がかかることで胃の中にとどまりやすくなるため、胃に負担がかかりやすくなるからです。

体重や筋肉量が減ってきた

老犬では、食事量が十分に確保できない状態が続くと、体は体脂肪や筋肉を分解してエネルギーを補うため、体重や筋肉量が徐々に減ってくることがあります。

特に筋肉は、加齢によって運動量が減ったり筋肉の合成能力が低下するため、食事量が不足するとさらに落ちやすくなるので注意が必要です。

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夜中や早朝に空腹で起きる

夜中や早朝に落ち着かなかったり、朝方に黄色い液体を吐く(胆汁嘔吐症候群)場合は、空腹時間が長くなっている可能性があります。

特に老犬では、一度に食べられる量が減りがちなので、1日2回の食事では1日に必要な食事量が摂れていないことも少なくありません。

老犬の食事回数を増やすメリット

老犬では、一度に多くの食事量を与えるよりも、少量を複数回に分けて与えるほうが体の負担を減らすことにつながります。

ここでは、老犬の食事回数を増やすメリットを見ていきましょう。

消化器への負担を軽減しやすい

食事回数を3回以上に増やすことは、消化器への負担を軽減しやすくなります。

老犬では、一度に多くの食事を摂ると胃や腸で消化に時間がかかるのはもちろん、食べ物を十分に分解・吸収できないことも少なくありません。

食事を少量ずつ複数回に分けて食べてもらうことは、胃が一度に処理する食事量を減らせるため、消化器への負担軽減や消化を進めやすくできるというメリットがあります。

食事量を確保しやすい

老犬の食事回数を増やして少量ずつ与えるメリットには、 1日に必要な食事量を確保しやすくなることも挙げられます。

老犬では、一度に食べられる量が減ったり、食べムラが出たりすることも珍しくありませんよね。

食事の途中で食べるのをやめてしまったり、食べきれずに残してしまったりすると、1日に必要な栄養やエネルギー摂取量が不足してしまいます。

複数回に分けてあげることで、老犬が毎回食べきりやすくなるのです。

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筋肉の分解を抑えやすい(自食作用)

老犬の食事回数を増やすことは、体が筋肉をエネルギー源として分解する状態を抑えやすくすることにもつながります。

長時間の空腹や栄養不足などで体のアミノ酸が不足すると、体は筋肉を分解してアミノ酸を作り出し、それをエネルギーとして利用します。

特に老犬では筋肉を維持する働きが低下しているため、筋肉の分解が進みやすくなってしまうのです。

食事を複数回に分けて与えることは、体にエネルギーをこまめに補給できるため、筋肉が使われることを防ぎやすくなります。

血糖値の急激な変動を防ぎやすい

食事回数を増やすことは、血糖値の急激な変動を抑えることにもつながります。

食事の間隔が長く空きすぎると血糖値が下がりやすくなり、その後の食事で血糖値が急激に上昇するなど、血糖値の変動が大きくなることがあります。

もちろん、犬は人より血糖調整能力が高いと考えられていますが、老犬や病気、低栄養状態では影響を受けてしまうことも否定できません。

こうした血糖値の大きな変動は体に負担をかけてしまうこともあるため、複数回に分けて食べさせてあげることは血糖値を安定させやすくする方法のひとつです。

老犬の食事回数を増やすときの注意点

食事回数を増やすことは老犬にとってメリットがありますが、与え方を間違えると体重増加や栄養バランスの乱れにつながることもあります。

ここでは、老犬の食事回数を増やすときの注意したいポイントを見ておきましょう。

1日の総カロリーは増やさない

食事回数を増やすときは、1日に与える食事の全体量が変わらないように注意しましょう。

食事量が今までと同じで回数だけ増やしてしまうと、カロリーの摂りすぎとなり、肥満につながってしまいます。

食事回数を増やすときは、1日の食事量を与える回数で割ってくださいね。

【1日の総食事量が100gの場合】

食事回数1回あたりの給餌量
3回約33g
4回25g
5回20g

愛犬のカロリーや食事量がわからない場合は、食事回数5回分まで対応している給餌量自動計算機を活用してください。

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食事の間隔は3〜6時間ほど均等に空ける

食事回数を増やす場合は、食事の間隔が偏らないように、3〜6時間ほどを目安に均等に空けて与えるようにしましょう。

食事の間隔が短すぎると胃の中に食べ物が残った状態で次の食事が入ってしまい、消化に負担がかかることがあります。

反対に、間隔が長く空きすぎると空腹時間が長くなり、体への負担につながります。

ただし、夜間はどうしても食事間隔が長くなりやすいため、最後の食事を少し遅めの時間にするなどして、夜の空腹時間が長くなりすぎないように調整してください。

たとえば、私の18歳の愛犬の場合は、以下のような間隔でご飯を食べてもらっていましたよ。

【5回のとき】※約4時間

9時 / 13時 / 17時 / 21時 / 24時

【6回のとき】※約3時間

9時 / 12時 / 15時 / 18時 / 21時 / 24時

もちろん、食事回数や時間は愛犬の状態や生活リズムによっても変わるため、愛犬に合わせて調整してあげてくださいね。

おやつの与えすぎに注意する

老犬の食事回数を増やすことに限りませんが、おやつの与えすぎには注意しましょう。

おやつの与えすぎは、栄養バランスの偏りや肥満の原因になることがあります。

おやつを与えるときは、1日に必要な摂取カロリーの10%程度(多くても20%以内)にとどめ、そのカロリー分の食事量を減らすようにしてください。

なお、おやつは食事回数に含めません。

老犬の食事回数に関するQ&A

老犬の食事回数を増やすにあたり、疑問に思うことも多々出てくるのではないでしょうか。

ここでは、老犬の食事回数に関するよくある疑問をQ&A形式で解説します。

老犬が寝ているときは食事のために起こさない方がいい?

基本的には、老犬がぐっすり寝ている場合は無理に起こしてまで食事を与える必要はありません。

老犬にとって睡眠は体力の回復や体調維持にとても重要であり、深い睡眠を妨げてしまうと体への負担になることもあります。

ただし、老犬では昼夜逆転などで生活リズムが乱れることもあるため、昼間に軽く声をかけて起きたタイミングで食事を与えるということも必要です。

また、食事量が不足している場合や体重が減っている場合は、食事のタイミングを優先したほうが良いこともあるため、愛犬の状態を見ながら調整しましょう。

食事の時間がバラバラでもいい?

基本的には、食事の時間はできるだけ一定にした方がいいでしょう。

犬は生活リズムに合わせて体の働きが調整されるため、毎日の食事時間が大きく変わると、空腹時間が長くなりすぎたり短くなりすぎたりして、体への負担につながることがあります。

特に老犬では、食事や睡眠、活動のリズムが安定している方が体調を保ちやすいため、できるだけ同じ時間帯で食事を与えることが理想です。

ただし、多少前後する程度であれば大きな問題はありません。毎日きっちり同じ時間でなくても、食事の間隔をおおよそ一定に保つように意識するといいでしょう。

夜中にお腹が空くときはどうする?

老犬が夜中にお腹を空かせてしまう場合は、食事回数や食事のタイミングを見直してみましょう。

特に1日2回の食事では、夕食から翌朝までの空腹時間が長くなりやすく、夜中や早朝にお腹が空いてしまうことも少なくありません。

その場合は、食事回数を増やしたり、最後の食事の時間を少し遅めに調整したりすることで、夜間の空腹時間を短くすることができます。

老犬の食事回数は何回まで増やしてもいい?

老犬の食事回数は、明確な上限が決まっているわけではありません。

一般的には1日3〜4回程度に分けることが多いですが、一度に食べられる量が少ない場合や食事量を確保したい場合は、5〜6回程度に分けて与えることもあります。

ただし、回数を増やしすぎると食事の間隔が短くなりすぎてしまい、胃の中に食べ物が残った状態で次の食事が入ることもあるため、食事の間隔が極端に短くならないようにすることが大切です。

食事回数は「何回まで」と決めるよりも、1日の食事量を無理なく食べられるか、食事の間隔が適切に保たれているかを目安に調整しましょう。

食事回数を増やしても食べない場合は?

食事回数を増やしても食べない場合は、加齢以外の原因も考えられるため、動物病院を受診しましょう。

老犬では、加齢による嗅覚や味覚の変化、歯や口のトラブル、消化機能の変化などが影響して食欲が落ちることも珍しくありません。

また、体調不良や病気が原因で食欲が低下している場合もあります。

食事量が少ない状態が続く場合や、体重が減ってきている場合は、早めに獣医師に相談することが大切です。

まとめ|老犬の食事回数は愛犬の状態に合わせて調整しよう

老犬になると、一度に食べられる量が減ったり、食事間隔が長くなることで空腹によるトラブルが起こりやすくなります。

そのため、老犬の食事回数は1日3回以上を目安に、少量ずつ複数回に分けて食べさせてあげましょう。

老犬の食事回数に決まった正解はありません。

愛犬の体調や食事の様子を見ながら、無理なく食べられる回数に調整してあげてくださいね。

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この記事を書いた人

たかだ なつき(高田 菜月)のアバター たかだ なつき(高田 菜月) ペット専門ライター・ペット専門家

長年人間の介護に携わってきたが、寝たきりになった愛犬の介護をきっかけにペット業界へ。
ペット専門ライター歴は7年。
すべての犬猫が幸せに暮らせる社会の実現を目指し、さまざまなメディアで犬の食事や健康、介護、ペット保険などの記事の執筆・監修を行う。ペット専門ライティングチーム「いぬのことば」も運営。

18歳・17歳・16歳・14歳と、4匹の愛犬を最期まで自宅で介護し、看取った経験を持つ。現在も4匹の愛犬と暮らしながら、老犬のためのオンラインサロン「いぬのじかん」を運営。実店舗における老犬のトータルケアサロン開業に向けても準備中。

【保有資格】
動物介護士 / ペット終活アドバイザー / CPD認定 Canine Cognitive Dysfunction(CCD)修了 / ペットフーディスト / ペット食育士1級 / 犬の管理栄養士 / メディカルトリマー / ホリスティックケア・カウンセラー / ペット看護士 / 愛玩動物救命士ほか
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